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新真理会 (地獄が呼んでいる 用語解説)

Netflixのドラマ「地獄が呼んでいる(Hellbound)」の用語「新真理会」(コミック版だと「新真理の会」)について説明。「地獄が呼んでいる」のキーワード説明や登場人物のまとめはこちらの記事をご覧ください。

ネタバレを含まない「新真理会」の説明

チョン・ギンス議長が2012年に作った新興宗教団体。試演の映像をネットで流すことで拡大している。死の時間を預言する天使が現れ、死の時間を告知する。その時間になると実行者が現れ、地獄へ連れ去る。この超常現象を彼らは「試演(しえん)」と呼ぶ。新真理会はその者が罪人であるから神の意思として試演がおこなわれているのだ、と説く。

オフラインで犯罪行為を繰り返す「矢じり」と新真理会は表立っては別のグループであるが、新真理会の信者が矢じりを煽る場面もあり、構成するメンバーは重複している。

ネタバレを含む「新真理会」の説明

以下、ネタバレを含みますのでまだドラマをご覧でない方はブックマークをして視聴後にお読みになることをおすすめします。

新真理会は、「矢じり」と同様、「実行者」によってもたらされる死を神の意思だとしている。両者は密接な関係があり裏でつながっているが表立っては別の組織である。新真理会は新興宗教団体として表向き法を守っているが、「矢じり」はオフラインでも犯罪を起こして法を破ることをいとわない。

新真理会は2012年、議長であるチョン・ギンスが作った。物語の舞台は2022年から始まるので、まだできてから10年ほどと歴史は浅い。

多くの人の目の前で起きており、映像も残されている超自然現象「試演」を「神の意思」によるものだとするが、その根拠は示されない。

彼らは「試演」の映像を巧みに使い、ネットで動画配信・拡散することで人々の恐怖心を煽って勢力を拡大している。

新真理会の教えはとてもシンプルで以下のようなものである。

神は「試演」によって、罪を犯すものが行き着く「地獄」をストレートに見せ、我々に警告をしている。
罪を犯すものは地獄に行き、同じような目に遭うことになる。
それを避けるにはどうしたらよいか?
そもそも罪はなぜ生まれるのか。人が罪を犯そうとするから罪が生まれるのだ。
では、人が善をなすものとして心を入れ替えればよい。
それで罪は生まれない。
すべての人がそうすることによって人類は次のステージへ進み、新しい世界に突入する。
それが、神の意図である。

つまり、人は生来「善」であり、罪を犯さずに日常の生活を清く生きることができれば地獄に行かずに済む、という教えである。

しかしこれは、見方を変えれば、人は考えることをやめ、殺されたくないがために黙って善良に生きろということになる。

新真理会の闇

表向きチョン・ギンス議長は20年前にチベットを旅しているときに、実行者の「試演」をたまたま見た、とされている。

しかし実際20年前起きたのは、チョン・ギンス議長に対する「告知」だった。

チョン・ギンスは20年前、養護施設で「20年後に死ぬ」と天使から告知を受けていたのだ。そしてその時から彼はその謎を解くためこの現象を調べはじめた。

ついにはこの超常現象をうまく利用して新興宗教を作り上げることを考えたのだ。

つまり、実演で死んだ者たちが罪人であるというのは、こじつけであり、地獄が存在するというのチョン・ギンスが作り上げた妄想だったのだ。

初代議長と2代目議長

初代議長が告知を受けていたということに気づいたのは、2代目議長となるキム・ジョンチル牧師だった。彼が発行する「未来宗教」という冊子のインタビューで、チョン・ギンスが天使に預言を受けたことを語っていたのだ。

キム・ジョンチルは、初代議長が告知を受けていた、ということを隠すことを条件に、2代目議長の座を譲り受ける。作中そのことは描かれていないが、もしかしたら2代目は初代をそのことで脅していたのかもしれない。

巨大化する新真理会

『地獄が呼んでいる』は大きく2部に分かれており、1部は2022年に、新真理会初代会長が存命のときの最後の出来事を描いており、2部はその4年後のことを描いている。

新真理会の議長の座にはキム・ジョンチルが座り、

教団は巨大化し、「世界のほとんどの人が信者」となっている。

教団本部は巨大な建物であり、試演は、その中でおこなわれ、毎回生中継されている。

街角には実行者の像が建ち、パク・ジョンジャが試演を受けた部屋は記念館となっている。

マスメディアや警察、政治家も強大な力を持つ新真理会に協力的である。

ただ、2代目議長のキム・ジョンチルの言葉は野暮ったく、思慮深さは感じられない。

その場の思いつきのような語り口であり、見た目も身振りもチープである。

それと同時に、罪人とされる告知を受けた人々の罪も、それが地獄に行くべき罪なのだろうか

と言えるほど軽いものとなってしまっていた。

それに伴い、新真理会も、罪人といえないほど罪の軽い者に関しては隠蔽をおこなうようになってしまっていた。

「悪いことをしたら地獄行き」という恐怖で人々を支配するには、

それに見合う悪人が、試演を受けているように見せかけることが必要だからだ。

新真理会とは何なのか

結局のところ、天使による告知と実行者による殺人、という超常現象は、

罪人に対しておこなわれるのではなく、誰かれ構わずに起きている、

いわば事故、いわば自然現象のようなものだったのだ。

新真理会は、そのことをうまく利用して、いかにも罪人に対する裁きであるかのような

見せ方をして、その映像を使って恐怖をネットで拡散し、短い期間で巨大化し、

巨万の富と権力を手にしたのだ。

その存在はまるで、ネットのフレーミング(炎上)でネットリンチに遭う人がいることを知りながらその上にビジネスを構築しているSNS企業や動画共有プラットフォーム、掲示板運営者——ネットの上で起こる『地獄』で利を得ている者たちのようである。

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