こんにちは、深水英一郎(ふかみん)です。
今回は、タムパ(タイムパフォーマンス)を高めるノウハウとして「動画の倍速視聴とその使いこなし方」についてご案内いたします。以下のような内容となっておりますので、是非この記事をブックマークして活用してください。(2023年8月加筆)
- 再生速度ごとの短縮される時間について
- 倍速視聴のコツと可変速度視聴について
- 「Video Speed Controller」の紹介(YouTube、Netflix、Disney+、Amazon Prime Video、Hulu、Udemy等を倍速視聴するためのブラウザ拡張機能)
- 倍速視聴を快適にするための環境整備について
■倍速視聴を使いこなそう
定額制動画配信サービス(SVOD)の拡大で全部視聴することは不可能な膨大な量の動画・音楽・音声コンテンツにアクセスできるようになった現代。倍速視聴の使いこなしは必須ノウハウです。倍速視聴を使いこなせる人になりましょう。
例えばニュース番組。これを総ての人が1倍速(等倍速、普通の速度)で見る必要があるでしょうか? ニュース番組を読むアナウンサーは、子どもからお年寄りまで、誰もが聴き取れるスピードでニュース原稿を読んでいます。つまり、聞き取れない人がでないよう、ゆっくり読んでいるのです。
あなたがもし効率的に情報収集をしたいと考えているのであれば、お年寄り向けのスピードでゆっくりニュースを聞く必要はありません。あなたに適した再生スピードをみつけ、できるだけ時間をかけないほうが正しい。例えば新聞から情報収集する場合は、見出しをチェックして欲しい情報のみに目を通し、重要であればじっくり読み、簡単な話題であれば、ななめ読みしていると思います。新聞を頭から順番にじっくり読んでたら時間かかりすぎで、遅刻しちゃいますよね。時間節約の基本です。
テキストなら当然そうしているのに、動画は頭から1倍速で見るという考え方にこだわっている人がいますが、その考え方は古いです。動画の場合も当然ながら、見たい情報までスキップしたり、聴き取れるぎりぎりのスピードまで倍速再生して効率的に情報収集し、時間を節約する。これは当然のことなのですが、今までは倍速視聴のための機能が充実していなかった。しかし、今はその機能が使えるようになったのです。これを活用しない手はありません。
まずは倍速視聴の方法について知り、次に状況によってどう使いこなすか、自分に適した再生速度はどのくらいかを知る。これはあらゆる動画コンテンツについて言えることです。ものによっては1.8倍でもよいものがあり、また1.0倍で見たほうがよいものもあります。
動画があふれるこの時代、倍速視聴は当然使いこなせるようになっておくべきこと。そこはもはや議論の余地なく常識と言っても良いでしょう。
■60分の動画を1.5倍速や1.2倍速で見たら、何分で終わる?
さて、いきなりですが、ここで質問です。60分の動画を1.5倍速や1.2倍速で見たら、何分で終わるか、ご存知でしょうか。
答えは
1.5倍速の場合
60 ÷ 1.5 = 40分
1.2倍速の場合
60 ÷ 1.2 = 50分
です。
1.5倍速だと3分の2に短縮でき、20分節約になるのですね。知ってるよ~って方も多いと思いますが、いやはやこの20分って、すごく大きいですよね。のり弁当ぐらいであれば、おしゃべりしながら食べ終えられるぐらいの時間です。
通常、60分ドラマを2本観ると120分かかります。しかし1.5倍速で観ると、なんと120分で3話分観ることができてしまいます。
改めて考えるとこれすごくないですか? まるで時間を操っているような。
繰り返しますが、これまで2本しか見れなかった時間で、3本見ることができるんです。これはすごい。
この短縮される時間、毎回計算するのもよいですが、主だった数字を眺めておいて、どのくらい時間短縮できるかなんとなく感覚を掴んでしまうと、なにかと役に立ちます。
というわけで、並べてみます。
■動画倍速の「なんとなく覚えておくとよい数字」
自分がよく観る動画の長さをみつけて、どのくらい時間を短縮できるのか、実際に確認してみてください。
● 23分の動画の場合(アニメは23分程度のものが多い)
1.2倍速→19分(4分短縮)
1.25倍速→18分(5分短縮)
1.5倍速→15分(8分短縮)
1.75倍速→13分(10分短縮)
2倍速→12分(11分短縮)
● 45分の動画の場合(米国ドラマは45分程度のものが多い)
1.2倍速→38分(7分短縮)
1.25倍速→36分(9分短縮)
1.5倍速→30分(15分短縮)
1.75倍速→26分(19分短縮)
2倍速→23分(22分短縮)
● 60分の動画の場合(日本のドラマは50分~60分程度の尺のものが多い)
1.2倍速→50分(10分短縮)
1.25倍速→48分(12分短縮)
1.5倍速→40分(20分短縮)
1.75倍速→34分(26分短縮)
2倍速→30分(30分短縮)
● 120分の動画の場合(映画は120分程度のものが多い)
1.2倍速→100分(20分短縮)
1.25倍速→96分(24分短縮)
1.5倍速→80分(40分短縮)
1.75倍速→69分(51分短縮)
2倍速→60分(60分短縮)
※小数点以下は四捨五入。
いかがでしょうか。2時間の映画を1.5倍速にしたら80分ぐらいで観終わるな、ってのをなんとなく把握しておくと、めやすになるかと思います。
■倍速視聴のコツ
ここで速度可変で観る「倍速視聴」「時短視聴」のコツを少々お伝えします。
大事なのは、まずはなにより自分にとっての観やすいスピードを見つけ出すことです。そのため、最初はいろんな再生速度を試してみてください。無理に高速にする必要はありません。あくまで「自分に最適な速さであること」が重要です。
●倍速視聴のめやす
ちなみに、私はこれぐらいの速度で観ています。
・通常1.5倍~1.8倍
・セリフが多い場面は1.2倍~1.3倍
・要素が少ない場面は2倍
・アクションシーンは1.0倍
・音楽が重要なシーンは1.0倍
・ダンスシーンは1.0倍
バトルやカーチェイスなどのアクション要素が中心のシーンは、倍速視聴だと動きが速すぎて楽しみを損ねる場合がありますので、1.0倍(等速)での視聴がよいでしょう。また、音楽やダンスが重要なシーンでも1.0倍視聴が向いていると思います。音楽やダンスで本来伝えたいものをうまく捉えきれない場合があります。もちろん、自分は倍速でも問題なく楽しめているという方はそのままでもよいでしょう。
ききとりにくい場面や話が難解な場面は10秒戻しなどを使って見直したり、一時停止してじっくり考えながら観ると良いと思います。慣れてくると、1.2~1.3倍程度の速度では、再生スピードを上げているということを忘れてしまうくらい、自然に感じるようになります。
●速度優先なら字幕は表示しておいたほうがよい
最近は、邦画でも字幕を表示させることができるサービスがあります。その場合、邦画の場合でもあえて字幕を表示すると、スピードを上げて視聴しやすくなります。もし聞き取りにくいセリフがあっても字幕で補完できるためです。場合によっては劇中で名前がでてこなかったのに、字幕には名前がきっちり書かれているという場合もあります。登場人物の名前が覚えられなくてこんがらがってしまう方にも字幕はおすすめです。
ニュース番組や実用動画は高速再生もしくはスキップをガンガン使って飛ばしながら観たい部分を探し、注目のテーマはゆっくり観る、という形で緩急をうまくつけるのがコツです。
時短のために、興味ない部分にかける時間はできるだけ減らし、観るべき部分はしっかりみる。あらゆる動画に対してこの緩急がつけられるようになってきた、というのが進化であり利点だと思います。
●ドラマは1.2倍速程度、重要なのは「可変速度視聴」
私の場合、ドラマや映画は1.2倍〜1.3倍程度でみています。あまりに速いと感興を削がれるため、速くしすぎないようにしています。セリフメインの場合は、もう少し上げて1.5倍にする場合もあります。ドラマだと、第1話は非常にテンポよく話しが進む作品でも、シーズンの途中からテンポが遅くなる場合があります。その場合は少し速度を上げて視聴します。ドラマの第1話は視聴者の心を鷲掴みにしたいために、内容がドラマティックでどうみてもたっぷり予算がかかった特集効果や刺激的な演出が多用されておりテンポもよくてイントロやエンディングもカットされ、続きがみたくなるような工夫が凝らされています。しかし、ドラマの第3話になると、急に予算が尽きたのかと思うほど場所も変わらずストーリーも展開せず、場合によっては退屈になってしまう場合があります。それを察した場合は、スピードアップしたりスキップするという判断もアリだと思います。これは面白そうなドラマだとわかったら1.0倍〜1.2倍程度でじっくり楽しみ、あきらかに話が薄くなってきたなと感じたら飛ばしていく、という判断が、倍速視聴には求められます。
まずは自分の基準となる視聴速度を決める。そして場面によって速度を上げ下げする「可変速度視聴」をおこなうのが倍速視聴のコツです。
●1.0倍速(等速)で視聴したほうがよいもの
アクションシーンは1.0倍(等速)で見たほうがよいです。カーアクションや、戦闘シーンなどですね。そもそも動きが速いので、倍速視聴しているとなにをやっているのかわからなくなってしまいます。凝ったアクションシーンだと大事な場面を見逃すかもしれません。
セリフに頼らない役者さんの演技も、あまりに速いと感じ取ることができない場合があります。セリフで言っていることと演技で表現されていることのニュアンスが違い、それがとても重要だという映像作品もあります。アニメーションですがたとえば宮﨑駿監督の作品もそうだと言えます。ここぞ、という場面は1.0倍に戻してじっくり見た方が作品を楽しめます。
作品により、場面により、最適な速度を柔軟に選択する。より楽しむためにも「可変速度視聴」をおすすめします。
■倍速視聴のためのブラウザ拡張機能を活用する
視聴速度に緩急をつけ、「可変速度視聴」を実現するための、ブラウザ用拡張機能があります。よく知られているのが「Video Speed Controller」という拡張機能です。それを使えばショートカットキーを押すだけで楽に動画再生速度をコントロールできるようになります。是非試してみてください。YouTube、Netflix、Disney+、Amazon Prime Video、Hulu、Udemyなどの動画再生スピードを細かくコントロールしたり、10秒スキップができるようになるChrome拡張です。
再生速度調整のためのショートカットを覚えましょう。
Dキーで速度アップ、Sキーで速度ダウンです。
Xキーで10秒送り、Zキーで10秒戻し。
まずはこれだけ覚えるだけで自在に操作できます。
その他のショートカットキーもありますので、設定画面で確認してください。
上記キーでの速度変化や、スキップさせる秒数なども細かく設定できます。NetflixやYouTubeなど、倍速再生機能を標準で装備している動画プラットフォームもでてきていますが、操作方法が統一されているのがこの拡張機能の利点です。
YouTube、Netflix、Disney+、Amazon Prime Videoなどの動画や、その他ブラウザ上で再生されるさまざまな動画の再生スピードを同じショートカットでコントロールできるようになるので、非常に便利なのです。
●Video Speed Controller(Chrome拡張機能)
●Video Speed Controller(Firefox拡張機能)
https://addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/videospeed/
■倍速視聴のための環境を整える
私の場合、自宅のリビングのテレビ(SONY BRAVIA)にWindows PCをつなげて、動画はできるだけブラウザ経由で見るようにしています。この形で視聴できるのは、YouTube、Netflix、Disney+、Amazon Prime Video、Hulu、Udemy等です。Video Speed Controllerを使えば、再生速度のコントロールは、同じショートカットでおこなうことができるので非常に便利です。Android TV搭載のBRAVIAなので、リモコンでAndroid アプリ経由で視聴することもできるのですが、再生速度の変更ができたりできなかったりしますし、操作方法も統一されていないので、PCの画面を映してブラウザ経由で見る方法にしています。このやり方だと多くの動画サービスの視聴速度のコントロール方法を統一化できて、非常に快適です。
再生速度の調整はキーボードショートカットでおこなうので、通常は手元にキーボードを置いています。しかしフルキーボードを手元に常に置いておくのはかなり大げさなので、必要なショートカットのみ登録した6キーから10キー程度の無線のマクロパッドキーボードを手元に置いておくと、さらに快適度が増します。私は6キーのマクロパッドキーボード「えむごっち」を使ってます。タッチパネルを使ってマウス操作もできるのでなかなか便利です。その他にもさまざまな無線キーボードがあります。リモコン代わりに手元に置いておくと、「可変速度視聴」がとてもはかどります。
■自分の動画視聴スタイルをみつけよう
サブスク動画プラットフォームや動画共有サイトの繁栄により、観きれないほどの膨大なコンテンツにいつでもどこからでもアクセスできる世の中になりましたので、私達の映像の視聴スタイルも大きく変化しつつあります。
製作者側の意図した視聴速度で観るということもできますし、自宅で倍速やスキップを駆使してより多くのコンテンツを見たり、スマホを使って出先でチェックしたい動画をつまみ視聴することもできるわけです。
それぞれが、自分に合った動画視聴のスタイルを見つけ出し、映像作品を楽しむことができる、素晴らしい時代です。ぜひあなたも、自分に合った視聴スタイルをみつけてみてください。
※初出:おたくま経済新聞(2022年2月21日公開)掲載記事に、加筆したものです。
※文中の画像はVideo Speed Controller拡張機能のウェブサイトより引用